自閉症と運動の関係を脳神経の研究から学ぶ

自閉症と運動の関係を脳神経の研究から学ぶ

わたしたちは普段、いろいろなことを感じ判断して行動しています。この行動の指令を出しているのが、中枢神経と呼ばれる部分です。中枢神経は、脳と脊髄からなっています。そして中枢神経の機能を維持するために免疫を担当しているのが、ミクログリアという細胞です。

ミクログリアは、シナプスを含む神経細胞の不要な部分を、食べてしまうように貪食(どんしょく)することで、不要な神経接続を弱めます。最近の研究では、この作用が、炎症の起きたときの免疫担当としてだけではなく、小児の脳の発達段階でも積極的に必要であることがわかっています。ミクログリアによる、不要なシナプスの除去機能が不良なことが、自閉症の一因とも考えられています。
1) Penzes, P., Cahill, M.E., Jones, K.A., VanLeeuwen, J.E., & Woolfrey, K.M. (2011) Dendriticspine pathology in neuropsychiatric disorders. Nat. Neurosci., 14, 285‒293.

自閉症は、早期に発見できたとしても薬物投与や手術といった侵襲的な介入は脳の発達に影響する可能性があり、非侵襲的な治療法の開発が切望されています。そのような中、自閉症モデル動物が自発的な運動を実施したところ、ミクログリアのシナプス除去が誘導され、社会性障害や常同行動といった行動異常が正常になったことが、報告されました。
2) Andoh, M., Shibata, K., Okamoto, K., Onodera, J., Morishita, K., Miura, Y., Ikegaya, Y., & Koyama, R. (2019) Exercise Reverses Behavioral and Synaptic Abnormalities after Maternal Inflammation. Cell Rep., 27,2817‒2825.e2815.

2000年代後半より、運動が自閉症、発達障害の症状を緩和するという多数の研究報告とともに、運動支援の必要性も高まりました。症状改善のメカニズムを科学的に検証した点で、この研究報告は興味深く今後の報告にも期待したいと思います。

According to the recent research using model animals, ASD-related behaviors were normalized by physical exercise through microglial activation.Expect further reports to clarify the mechanisms of exercise therapy for neurodevelopmental disorders.